今回は第14回目の放送です🎉この番組では訪日インバウンド業界リーダーをお招きして、訪日ビジネスの施策やそのリアルを深掘ります。
2030年訪日客6000万人時代に向けて、多言語対応人材の即戦力マッチングサービスを運営するReelu(リール)の石丸香織が、時事ネタに触れながら、日本の受け入れ体制増強に向けてさまざまな事例や仮説を共有していけたらと思っております✊
今回は株式会社AirX 取締役・COO 多田大輝さんとフライトセールス 山崎千裕さんをゲストに迎え、インバウンド富裕層に選ばれるヘリコプタービジネスの実態と、空の移動を日常に変えるAirXのビジョンに迫りました!
ゲスト
株式会社AirX 取締役・COO 多田大輝さん/フライトセールス 山崎千裕さん
聞き手:株式会社Reelu 石丸香織
2015年創業、ドローンの着想からヘリへ。AirXの3つの事業モデル
株式会社AirXは2015年2月創業。当時市販が始まったドローンに注目した多田さんと代表の手塚さんが「いずれ人や物を運ぶモビリティになる」と確信し、先行して空の事業に参入しました。
法規制や技術的課題からまずはヘリコプターに注目し、インターネットで簡単に予約できるサービスを立ち上げたことがスタートです。
現在の事業は3本柱です。
- 都内・大阪・広島・沖縄などでのヘリ遊覧飛行
- 富裕層・インバウンド向けのチャーターフライト手配と地上オペレーション
- 機体を国内外から買い付けて顧客にリース販売する事業
社内に整備士や運航担当も抱え、プラットフォーム運営だけでなく安全面まで自社で管理している点が他社にはない特徴です。
国内人気No.1は富士山・箱根、遊覧から旅行・移動へシフト
国内で最も人気の高いエリアは富士山・箱根です。国内外を問わず需要が高く、遊覧飛行でも旅行の移動手段としても活用されています。
国内のお客様はプロポーズや記念日などの特別な日の需要が今も中心ですが、AirXとしての事業の軸は遊覧飛行からより日常的な旅行・移動へとシフトしています。
インバウンド富裕層が「ヘリ移動」を選ぶ理由——円安が変えた価格感覚
AirXは2019年からインバウンド対応を本格展開しています。コロナ後はさらにインバウンド比率が高まっており、その背景にあるのが円安です。フライト料金自体は値上がりしているものの、インバウンドの方にとっては相対的に手が届きやすい価格感覚になっているといいます。
日本人がプロポーズや記念日などの特別な日に利用するのに対し、インバウンドの旅行者は「限られた旅行期間の中で贅沢な体験をしたい」という動機でヘリを選ぶケースが多いとのことです。
東京から伊勢志摩まで陸路5〜6時間を半分に——VIP顧客が「時間をお金で買う」現実
フライトセールスを担当する山崎さんが主に対応するのは、インバウンドの中でもヘリコプターを移動手段として使う富裕層のお客様です。有名企業の経営層クラスも利用するといい、その目的は明快です。「移動時間の短縮」です。
例えば東京から伊勢・志摩エリアへは陸路で5〜6時間かかるところを、ヘリを使えばおよそ半分の時間で到着できます。機体のサイズも小型から広めのものまで選択可能で、グループの人数やニーズに応じたカスタマイズが行われています。プライベートな空間で移動できるというプレミアム感も、富裕層に支持される大きな理由のひとつなのです。
直前まで続く調整、富裕層対応オペレーションの舞台裏
富裕層対応の難しさとして山崎さんが挙げるのが「直前変更の多さ」です。荷物の個数・重さの変更から、フライト中に富士山を長めに遊覧したいといったルートへの要望まで、運行に直結するリクエストが前日まで続くことも珍しくありません。
安全を最優先にしながら、変更のたびに運航側と調整し顧客への回答を繰り返す。この間に入る役割こそ、AirXのフライトセールスの真価が問われる場面です。
「なかなかスッと行かないところが多いですが、そこが楽しいところ」——山崎さんはそう話します。
機長+ガイドで実現する、空からの観光体験
フライト中の案内体制にも工夫があります。基本は機長とお客様のみの搭乗ですが、詳しい解説を希望する場合はガイドが同乗します。
機長は管制との交信を英語で行う場面もあるため、ガイドがスカイツリーや東京タワー、富士山の景観、日本の歴史について丁寧に説明するスタイルが多いといいます。単なる移動にとどまらず、空から日本を体感できる体験として設計されているのがAirXの強みです。
目指すのは「GOやUberのような空の予約体験」——空飛ぶ車の時代も視野に
取締役・COO 多田さんによると、AirXが描く将来像は明快です。「スマホで出発地と目的地を入力するだけで、すぐに空の移動が予約できる世界」です。タクシーアプリGOやUberのように、日常の選択肢の一つとして空の移動が選ばれるサービスを目指しています。
その先には、創業当初から見据えてきた空飛ぶ車の時代があります。ヘリから培ったノウハウと需要をベースに、新たなモビリティが普及する未来へ向けて事業を拡大しています。インバウンドの旅行者に日本の魅力を空から届ける体験も、その大きなビジョンの一部なのです。